僕たちは母を介護する 第10話「待機1時間」 その後、また控室に戻った。12時が過ぎた。予定通りなら17時過ぎには手術が終わる。腹が減った。弟も朝から何も食べていない。御袋も、医師たちも頑張っているが、私たちも倒れるわけにはいかない。「何か食べようか。待っている間に俺たちが倒れたらいか... 2024.06.15 僕たちは母を介護する
僕たちは母を介護する 第9話「手術開始」 待合室ロビーにいた私たちは、しばらくして家族が控える部屋へと案内された。とても大きな部屋だった。長椅子が10脚以上あり、一つの長椅子に低いテーブルが備え付けてある。誰もいない。私は、一番手前の長椅子に座り、弟は隣に座った。しばらく無言であっ... 2024.06.15 僕たちは母を介護する
僕たちは母を介護する 第8話「手術開始前」 「人口肛門になるんですか」人工肛門という言葉を聞いたことはある。そして腹部のどこかに人工的な肛門を作るものだろうと想像はできた。しかしそれは人工肛門という言葉から想像していたもので、実際に見たことはない。突然聞く単語に驚きは隠せなかった。「... 2024.06.15 僕たちは母を介護する
僕たちは母を介護する 第7話「人工肛門」 「レントゲンを見ると腹部上部が白くなっています。これはガスと思われます。」モニターに映し出されているレントゲン写真が、身体のどのあたりなのか分からなかった。しかし、先生が画面の上の方を指しながら言ったのでわかった。画面には下腹部から胸あたり... 2024.06.15 僕たちは母を介護する
僕たちは母を介護する 第6話「驚愕と平静」 先生が椅子に座り、挨拶をされた。とても若い先生だ。時間のせいだろうか、疲れが少し見られるように感じた。夜勤だったのかもしれない。そんな観察ができるほど、私の心は落ち着いていた。その落ち着いた心と反し、頭の中では先生の次の言葉は「食あたりです... 2024.06.14 僕たちは母を介護する
僕たちは母を介護する 第5話「発症」 「ゆうべの11時ごろ、そろそろ寝ようかと思っていたら、母が俺を呼ぶから部屋を出てみたら、トイレの前でうずくまっていた。」「うんうん」母はよく腹痛を起こすので、いつものかと思い頷いた。弟は続けて、「俺は、『どうした?大丈夫?』と母に聞いたら、... 2024.06.14 僕たちは母を介護する
僕たちは母を介護する 第4話「到着」 A病院まで30㎞くらい、時間にして40分。私はA病院には一度行ったことがあった。それでもナビを確認したのは、最短距離で行こうと思ったからだ。途中、ナビは私が想像していた道とは違うコースを指示したが、迷わずそれに従って走らせた。草刈り作業の時... 2024.06.14 僕たちは母を介護する
僕たちは母を介護する 第3話「向かう」 そんなことを思い出しながら、毎朝行っている軽めのストレッチを終えた。(ま、今はどうもできないから連絡が来るまで待とう)心につぶやきながら、朝の準備をすることにした。《7時30分》地区の草刈り活動の準備を始めた。草刈り機の混合油と、人数分のペ... 2024.06.14 僕たちは母を介護する
僕たちは母を介護する 第2話「通話の後」 「母が昨夜、腹痛を訴えるからC病院につれてきてる」「どんな感じ」弟の声がそれほど緊張感も感じられなかったことと、母は昔からお腹が弱く腹痛でトイレに駆け込むことが多かったので、少しひどい腹痛ぐらいかと思い聞いた。「専門医が不在なので、今は点滴... 2024.06.14 僕たちは母を介護する
僕たちは母を介護する 第1話「着信」 明日は地区の草刈り作業だ。今年は班長をしている。私の地区は班長は持ち回りで、前回班長をしてから12年ぶり。(草刈り機用の混合油と、お茶のペットボトルは人数分あるな・・)私の地区では、年に数回草刈りを行う。だいたい5月くらいから9月くらい、当... 2024.06.14 僕たちは母を介護する