第21話「同意書①」

【僕たちは母を介護する】-21「同意書①」 僕たちは母を介護する
【僕たちは母を介護する】-21「同意書①」

家に帰り夕食を済ませ、少しゆっくりした。
何気なく見ていたスマホをテーブルに置き、部屋の隅にあるビニールバッグを見る。
バッグの中には今回の御袋の入院でもらった資料などが入っている。
(少し整理をしようかな)
入院して5日目だが、今のうちに整理しておこうと思った。
紛失しないようにクリアファイルに挟んでおいたが、バラバラなので内容を確認しながら整理することにした。

まず領収証をA4のコピー用紙に貼り付ける。
まだ3回しか購入していないので、1枚の用紙で済んだ。
次に書類。
〇入院のご案内のパンフレット
〇入院に必要な物品が記載された書類
〇手術における承諾書
〇今回手術が必要な理由の書かれた書類
〇身体抑制を行うことがある時の同意書
〇輸血に関する同意書
〇麻酔に関する同意書
〇麻酔の説明が書かれた書類
〇入院の計画書
1日目にこれだけの書類。
先生から初めて説明を受け、手術が始まるまでの短い時間にいろいろな同意書にサインをした。
書いたことやその時、説明を受けたことは覚えているが、もらった時系列はまったく覚えていない。
入院の計画書などは、1日目の手術後、帰る前にもらったのだろう。
ゆっくりと目を通してサインすることはできない状態だったことを思い出しながら、改めて読んでみた。

〔手術における承諾書〕は、診断名と手術の内容が書かれている。
診断された症状に対しこの手術が必要なことと、これに伴う危険性などの説明を受けたことに対する同意書だった。

〔今回手術が必要な理由の書かれた書類〕は、先の承諾書の内容をさらに詳しく記載されたものだ。
手術の内容が記載されていることや、考えられる合併症についても書いてある。
承諾書に危険性と書かれていたものが、この書類では[救命できない可能性もありえる」と書かれていた。
その他、輸血についてや、点滴の位置まで細かく書かれている。

〔身体抑制を行うことがある時の同意書〕は、ベッドからの転落や、いろいろなチューブを抜いてしまう可能性があったとき、抑制をすることがあるというものだ。
(患者が目を覚ましたとき、気が動転してチューブを抜くことがあると言われたな)
この書類を見直すまで、すっかり忘れていた内容だった。

〔輸血に関する同意書〕は、手術には血液が必要な事もあるだろうという認識だった。

落ち着いて見ると、ちゃんと説明を受けサインをした覚えがある。
時間もなかったので、細かいところの後で読んでおいてくださいと言われたことも思い出した。