第31話「退院?、介護と今後」

お腹の痛みと心の弱さ~過敏性腸症候群の私~

「こんにちは。少しご質問をさせていただきます」
「はい」
「現在のお母さんの状態はどのような感じですか」
一瞬「ん?」と思った。
カルテや御袋を見ればわかることなのになぜ聞くのかと思ってしまったが、先ほど見た御袋の状態を伝えた。
そして
「先生(担当医)の診断はどのようなものでしたか」
と聞かれるので、私は[なるほど]と思った。

多分私たちが御袋の病状や先生からの説明を理解しているか、御袋の様子を見てどう感じているかを知ろうとしているのか。または、担当でないために詳細がわからないのかもしれない。おそらく後者だろうが、私は理解している範囲で答えた。

しかし次の質問に驚いた。
「退院後の介護についてどうされますか?」
え!?退院?、いつ退院できるんだろう。この状態で家に帰るのか。いや帰れるのか?そう思ったが、先の話なんだろうと思い、
「いえ、まだ何も考えていません。もう退院になるのでしょうか?」
と尋ねた。
「ある程度治療が終わればそうなりますが、治療できる病院への転院の方がよろしいでしょうか」
[そういうことか]
ここは緊急で入院した病院だ。手術が成功しある程度回復すれば、治療継続で入院することができないのだろう。どの状態まで回復して退院になるかもわからないが…ある程度回復してからの帰宅でないと診る者がいない。

「転院先の病院の希望がありますか?」
と、聞かれたので私はどこでも構わなかったが、次男が
「母がいつも行っている病院があるのでそこをお願いします」
と家の近くの病院を指定した。
「わかりました。その病院がダメな時もあるので、もう一つないですか?」
その病院も次男が伝えたが、私はその病院はおそらくダメだろうと思い、その事を伝えた。そして、少し離れるがもう一つ伝えた。
「わかりました。3つの病院が受入可能か確認してみます」
と言われ話は終わった。

帰りの車の中、退院について弟と話した。
「転院だったら、D病院がいいな。近くだし、母がいつも通っているからよくわかっていると思うし」
「そうだな、でも・・・」
D病院は割と患者が多いと聞いている。地方の、しかも田舎の病院は空きが少ない。8割方厳しいと思ったが・・・確かめてもない事を否定するのはマイナス感情だ。
でも・・・の後、口を閉ざし、
「年内は入院と思っていたけど、急展開で驚いたな。それだけ順調に行っているということだな」
と、話を変えた。