第24話「現状」

僕たちは母を介護する

《6日目》
”怒涛のような”という表現をすることがあるが、この5日間はまさに大波が次々と襲ってくるような感じだった。
「ちょっと待って!」と言って、一旦考える時間が欲しくなるほどいろいろな事が押し寄せた。
でも、手術は無事成功している。
あとは、回復だけだ、そう思いながら面会に向かった。

御袋に向かって話しかけた。
まだ話はうまくできないが、頷いてくれる。
「がんばったな。すごいぞ。痛くないか」
そう声をかけたか、うんうんと頷くだけだった。
面会時間は15分。
あっという間に時間はすぎる。
弟が話している間に、私は御袋の状態を詳しく見た。

改めて大手術だったのだと思われる。
呼吸器のマスクがついていて、腕には点滴のチューブがつながっている。
シーツがかけてあって見えないが、お腹からも何本かチューブがでていた。
説明があったものだが、その時は理解していない。
必要なものであることだけを理解しているだけにすぎなかった。

しばらくすると担当医が入ってきた。
挨拶を交わし、先生が現状を伝える。
「血圧はだいぶ落ち着きを見せているので、血圧を上げる薬を少しずつ減らしています」
私たちは好転していることを知り喜んだ。
「しかし肺の中に水が溜まっています。そのため、酸素吸入の挿管はまだ外せません」
「なぜ肺の中に水が溜まっているのでしょうか」
「肺の中の水が溜まったのは、点滴によるものです。この処置は生命維持のために仕方ないもので、溜まることはわかっているものでした。そのため、心配はありません」
「そうですか。安心しました」
「あと、お腹に刺している管はまだ抜けません。これは、腸の外、お腹の中に出た便を吸収するものです。まだ、すべて取り除けていないのですが、2・3日中には取れると思います」
(手術から5日経っているけど、まだ抜けきれないんだ・・・)
そう思いながら、「わかりました」と答えた。