第15話「就寝」

【僕たちは母を介護する】-15「就寝」 僕たちは母を介護する
【僕たちは母を介護する】-15「就寝」

(原因不明・・・)
人間の身体のことだ、わからないこともある。
医学については全くわからないが、理解はできた。

(病院に頼るしかないのは最初からわかっていた。少しでも何かわかればと調べたが・・・原因がわかったところで意味はない。今は御袋の生命力に期待し・・・祈ろう)

私はここでパソコンの電源を落とした。
急激に目が重くなり、睡魔に襲われる。

(明日は午後から面会に行くが・・会えるといいのだが)

今は面会の時間が限られている。
病院で面会できるか尋ねたら、午後の時間なら大丈夫と言われた。
しかし面会できる人数は決まっていて、一度に面会できるのは2人だけ。
三男夫婦も来るので、2回に分けて面会することになる。

(病院も大変だな・・・)

治療、入院している患者は御袋だけではない。
たくさんの人が入院しているため、病院としては院内感染のリスクを減らすためには面会謝絶を望むことだろう。
しかし、心配する患者家族のためにもいろいろな工夫をして、受け入れてくれることに、心から感謝した。

(意識があれば、声をかけてあげたい。少しでも違うはずだ)

そう、願いながら眠りにく。

大変な一日が終わった。

《2日目》

午前中は仕事に行った。
月初めはかなり忙しい。
今の会社に勤め始めて4年が経つ。
携わる業務に慣れてはいるが、月初めは前月の請求処理をする。
時間をかけてじっくり取り組む作業なのだが、余裕のある時に不測の事態を想定した早く処理をする訓練やチェックリストの作成をしていた。
不測の事態に備える必要のないものだが、休んだときに迷惑をかけてしまうことを恐れた。
どうしても仕方ないときもあるし、会社もそこまで厳しくはないが、自分の職責はしっかりできるように努力はしている。

(なんとか目途がついた・・・あとは明日でも大丈夫だ)

ちょうど昼になり、机の上を片付けて会社を出た。