そんなことを思い出しながら、毎朝行っている軽めのストレッチを終えた。
(ま、今はどうもできないから連絡が来るまで待とう)
心につぶやきながら、朝の準備をすることにした。
《7時30分》
地区の草刈り活動の準備を始めた。
草刈り機の混合油と、人数分のペットボトルのお茶を台車に載せ、草刈りを行う場所まで移動する。
草刈りは8時からだが、何人かは早めに始める。
しかし着いたが誰も居なかった。
(まさか用事でみんな来ないなんてことはないよな(笑)』
そんなことはないが、あったらそれはそれで面白いとも思っていたら、
「おはようございます」と後ろから声をかけられた。
「おはようございます。よろしくお願いいたします。」
挨拶を交わすと、一人二人と草刈り機や鎌、ほうきなどを手に地区の人たちがやってきました。
少し早めに始まったこともあり、草刈り作業は順調に進み8時30分過ぎには終わった。
皆に集まってもらいペットボトルを配り、班長としてお礼の挨拶をした。
(なんとか、一仕事が終わったなー)
班長の活動はあと半年あるが、草刈りはそれまでする必要がない。
特に気を配る必要はないのだが、やはり気を遣う。
終わってゆっくりするかーと思いながら、途中地区の人が4人ほど話し込んでいるのを見かけ、するとその中の一人に声をかけられた。
また何か相談かな?と考えたが、聞かないわけにもいかない。
足を止めて、輪の中に入った。
話しをされる丁度その時、スマホの着信がなった。
「あ、ちょっと失礼します」
そう言って、すこし距離をとってからスマホをみると弟からだった。
「どうなった」
連絡がくるのはわかっていたので、開口一番に内容を聞いた。
「専門医が来て診てもらったら、すぐ専門の病院に行った方がいいらしい。救急車で搬送する。」
「え!?、わかった。どこの病院だ?」
一瞬驚いたが、冷静になり病院を聞いた。
「A病院、自分も同乗するから、帰りは兄貴の車で送ってほしい」
「A病院だな、△△△[大型スーパー]の傍のだな。わかった。すぐに用意して行く。だいたい同じ時間に着くだろうけど、救急車の方が早いだろうから、少し俺の方が遅いだろう。」
「わかった」
後から気づいたのだが、この時、私も冷静さを装っていたが、動揺していたようだ。
電話を切ると、様子を察した地区の人が、「何かあったんじゃ?」と心配してくれた。
私は事情を説明した。詳しい事情は私もわからない。
簡単な説明で事情を察し、一人の人が「すぐに行って」と言ってくれたので、私は礼を言ってその場を離れた。
車に乗って、スマホのナビに病院名を入れた。
その時、私は動揺していることに気づいた。
聞いた病院は私がイメージしていた場所ではなかったからだ。
すぐに、弟に電話したが応答がない。
(救急車に乗っているので出られないのか・・・)
そう思いながら、聞いた病院名は間違いない、△△△の傍と言ったのは俺だし、弟もそれを否定しなかったのは同じように動揺していたからだろう。
そう確信して、私は車を走らせた。