「ゆうべの11時ごろ、そろそろ寝ようかと思っていたら、母が俺を呼ぶから部屋を出てみたら、トイレの前でうずくまっていた。」
「うんうん」
母はよく腹痛を起こすので、いつものかと思い頷いた。
弟は続けて、
「俺は、『どうした?大丈夫?』と母に聞いたら、母は『腹が痛い』と言った。『昨夜食べたものが悪かったのかも・・・』と言っていたが、俺も同じものを食べたし・・・違うと思った。」
「そのあと、とても苦しそうだったから、車に乗せてそのままC病院に運んだんだよ」
「そうか、C病院ではどんな治療をしたんだ」
「専門医がいないため治療はできないと言われ、点滴をしていた」
「その間、痛みは?」
「点滴で痛みはなかったみたいだった」
「そうか・・・」
続けて話を聞こうとすると、女性の看護師に呼ばれた。
「ご家族の方ですか?先生の説明があるのでこちらに来てください」
「わかりました」
私たちは、看護師に従って診察室へ進んだ。
大きな病院だけあって診察室はとても広かった。
モニターや、診察台、キャスター付きの台や、机・・・
頭で処理できないくらい、いろいろな物が目に入った。
それらに圧倒されないよう、私は毅然とした態度で看護師のあとに続いた。
腰の高さで仕切られたスペースに着くと、看護師は「先生が来られるので掛けてお待ちください」と言った。
椅子に座ると、目の前にパソコンのモニターらしきものがあった。
何か写っているが、それが何か分からなかった。
弟と二人で無言で待っていると、すぐに先生が来られた。